腰椎すべり症の症状・原因・治療・手術・対策のTOPに戻る


マッケンジー法とは

■「マッケンジー法」という言葉を聞いたことがありますか?

あまり耳慣れないコトバかもしれませんが、
しかし、「自分で治せる腰痛体操」とか、
「自宅で腰痛を治す体操」といった表現なら、
耳にしたことがあるでしょう。

上のような表現をキャッチフレーズにした腰痛体操や腰痛治療が、
すべてマッケンジー法だとは言いません。

ただ、その多くは、これから解説するマッケンジー法の考え方を取り入れている可能性大なのです。


■そもそもマッケンジー法とは、ニュージーランドの理学療法士であるロビン・マッケンジーという人が体系づけた治療法のことです。

より正確には、「評価と治療」の方法と言うべきですが。

というのも、
マッケンジー法は、
「これとあれを行えば腰痛が治りますよ」という単純な方法ではなく、
まず、しっかりと患者の現状を把握し(「評価」)、
その現状認識に基づいて、その患者に適した治療法をアドバイスする、
というものだからです。

なんだ、それなら、一般の整形外科などと同じじゃないか、
と言う声も聞こえてきそうです。

しかし、マッケンジー法の大きな特徴として、
腰痛体操のメニューの中に、
上体を反らす姿勢(伸展)を取り入れている点があげられます。

整形外科やその他一般的に知られている腰痛体操などでは、
体を前方に曲げる姿勢(屈曲)は推奨されていますが、
後ろに反らすことは、一種のタブーとなっているのが普通です。
体を後ろに反らす体操もメニューに取り入れているマッケンジー法は、
それゆえ、とても珍しい方法であることがおわかりでしょう。


■とはいえ、マッケンジー法では、
体を後ろに反らす体操を必ず取り入れるわけではありません。

上で少し触れたように、
マッケンジー法では、まず、患者に問診し、
現在の腰痛状況を詳しく聞き出した上で、
次に、理学検査と呼ばれるものを行います。

この「理学検査」とは、
たとえば、部屋の中を歩いてもらい、
体の傾き等をチェックしたり、
真っ直ぐ立った状態から、前屈し、
手の先を床に伸ばして、
どのあたりまで腰が曲がるか、
その際、どの部分に痛みを感じるか、
などを詳しく調べる検査です。

このようにして、その患者固有の腰痛状況を把握し、
この患者にはどのような運動や体操が適しているかを判断するのです。

したがって、
患者によっては、
マッケンジー法の特徴である伸展体操(身を後ろに反らす体操)は適さないと判断されることもあるのです。
このように伸展体操が不適だと評価された患者には、
腰をねじ曲げたり、横にずらしたり、前屈したり、
といったその患者にふさわしい体操メニューを提案するのです。

さらには、
患者によっては、マッケンジー法のいかなる体操治療も適さない、と評価されるケースも出てきます。
この場合には、マッケンジー法以外のどんな治療がその患者にふさわしいのか、
医師との話し合いを重ねることで、見つけていきます。


■マッケンジー法の目的は、
腰痛に苦しむ患者が、
自分で自分の腰痛をコントロールする術を身につける」ことです。

腰痛は、あるひとつの体操なり治療を行うことで、
その日以後すっかり完治し、いっさい腰痛に苦しむことが無くなる、
という性質のものではありません。

腰痛は、うまくつきあっていくべき性質のものです。

腰痛とつきあう際、医師などに依存してばかりいては、
いつまでたっても改善しないことは、
多くの人の実例で明らかです。

それなら、生活習慣を含めて、
腰痛が起こらないような体操を日常生活の中に取り入れていく、
腰痛が起きても、自分ですぐに対処できる方法を身につけていく、
腰痛に対するこうしたアプローチこそ、
マッケンジー法の基本的な考え方なのです。


■ところで、このページでは、
マッケンジー法のことを「腰痛」を克服するための方法として紹介してきましたが、
厳密には、マッケンジー法が対象としているのは、
腰痛、坐骨神経痛、頚部痛、頭痛、関節痛、手足の痺れ・・・
などであり、
つまり、広い範囲の症状を守備範囲としています。

ただ、当サイトを訪問されているあなたは、
当然、腰痛に悩まされている方に違いないでしょうから、
マッケンジー法=腰痛体操として解説してきました。

事実、整形外科医院のホームページなどを見ると、
まさに、マッケンジー法は腰痛のためだけの治療法・運動・体操であるかのように記述しているところがほとんどです。

いずれにしても、
マッケンジー法は腰痛以外にも適用される治療法だということを、
知識として、いちおう頭に入れておいて下さい。


■2010年5月25日(火)、フジテレビの『とくダネ!』で、マッケンジー法が紹介されていました。小倉さんが司会をやっている番組です。

番組の中では、
体験取材として、
レポーターがマッケンジー法を取り入れている医院を訪ね、
問診と理学検査(運動検査)を受け、
レポーター固有の腰痛状況を把握した上で、
伸展体操等の体操メニューを提示されていました。

レポーター(女性)は、
長年腰痛に悩まされてきている人のようで、
「かなり良くなった」と、
一回だけの体操ではあるものの、
効果の程を口にしていました。

また、医療ジャーナリストが次のようなコメントをしていました。

・・・マッケンジー法は、比較的新しい治療法だけれども、
試してみた人の多くが、効果を実感している。
もちろん、全ての人に必ず同じような効果があるとは限らないけれど、
かなり有望な治療法ではないか・・・


■これまでいろいろ試したけれど、
あまり効果を実感できなかった人は、
一度マッケンジー法にトライしてみるのもいいのでは?