にんにく注射とドーピング

一般に使用されているにんにく注射の成分中には、世界ドーピング機構が禁止している薬物は含まれていません。したがって、「成分」を理由に、にんにく注射がドーピングに引っ掛かる恐れはまずないでしょう。

しかし、それでもにんにく注射がドーピングになる可能性が捨てきれないのは、にんにく注射が「静脈注射」であるからです。

通常、スポーツ選手が「静脈注射」を打つのは、純粋に治療行為である場合がある一方で、禁止薬物を使用していることをごまかす目的で、生理食塩水などを「静脈注射」したりします。薬物を食塩水で希薄化させるためです。

こうした事情から、たとえにんにく注射の成分自体に何の問題がなくても、「静脈注射」をした行為が、あらぬ嫌疑をかけられる原因となってしまうわけです。というより、オリンピックなどでは、注射の成分如何にかかわらず、「静脈注射」のような疑わしい（まぎらわしい）行為自体が禁止項目の一つとなっています。

川崎フロンターレの我那覇選手の場合、結局、嫌疑は晴れましたが、だからといって、今後は堂々とにんにく注射ができる、ということにはならないでしょう。